なんでも王総領事は,各地でノーギャラの講演会を行い,日中友好のために日々ご尽力されているということだ.本当に頭の下がる限りである.
さて,講演会の告知では『入場・聴講ともに無料で多くの皆様のご参加をお待ちしている』ということであったが,その実態はそう自由なものではなかったようだ.
当然本会としても,王総領事の「日中友好講演」を是非とも拝聴させていただきたいと臨んだが,「定員を超えました」という嘘をつかれてしまったのである...
いったい,人に聞かれたらまずい日中国交正常化40周年事業講演とは何なんだろう,地元商工会や観光協会を巻き込んでいったい何を講演しているのだろう,とますます興味が湧いてくる.
今回は,この講演会のレポートを作成したので,日中友好への一助としてここにそのあらましを公開する.
日中国交正常化40周年記念講演会
演題「中国から見た柏崎の魅力について」
講師 中華人民共和国駐新潟総領事館 王華 総領事
日時 平成24年5月15日(火)16:20~17:10
*2月末に柏崎観光協会から総領事館に要請して実現したとの説明あり。
<内容>
観光協会より招かれて今回の講演会が実現した。
本日、さっそく会田市長を表敬訪問し市長をはじめ副市長や市職員によって歓迎された。
副市長より木村茶道美術館を案内され、優雅さと美味しいお茶に魅了された。
<中国から見た柏崎の魅力について>
柏崎市は新潟県内のほぼ中央に位置し、県内で4番目に大きい港湾都市であり、便利なアクセスと金属加工技術、そして日本最大の原子力発電所をもつ市として知られている。
一昨年、中国総領事館ができたあとに中国の唐家セン国務委員が東京電力を見学。
私が新潟に来て丸二年になる。
柏崎については第一に田中角栄元首相のふるさとであり、中日友好発祥の地であると認識している。
40年前に田中角栄元首相ら両国の大先輩らが日中国交正常化を実現。
私が大学で日本語を勉強したときも、多くの苦難を乗り越えて正常化を実現したことを学んだ。
当時の中国と日本の交流はそれほど多くなかったので大変苦労した。
中国で田中角栄先生は日中国交正常化に多大な貢献をされた。
田中角栄先生がいなければ国交正常化はかなり遅れただろうし、今のような人的および経済交流はなかっただろう。
中国総領事館を新潟につくる前、広島そして仙台など各方面に総領事館を設置してくださいと言われたけれど、新潟に決めた要素は田中角栄先生のふるさとだということ。我々のことわざで「水を飲むときは井戸を掘った人を忘れてはいけない」というが、恩返しの意味を込めて新潟に総領事館を設置した。
総領事館は大使館以外に日本に6つある。私たちの領事館は6番目だが規模は大阪に次いで全国2番目である。
あとは福岡、名古屋、札幌、長崎になる。
田中角栄先生のふるさとである新潟に総領事館をつくったからには、総領事館を大きくして、また経済協力・・これからは環日本海経済圏による協力を長期的な視野に入れて、総領事館のスタッフを増やして色々と展開している。
福島と仙台の領事館の大きさが新潟に負けたのもそういう理由がある。
柏崎市と中国との交流については先ほど市長も話したが、四川省の峨眉山市と友好都市条約を締結して20年近くになる。
また田中角栄先生の故郷であることから、周恩来元総理(国交正常化を結んだ)の故郷・江蘇省淮安市とも友好関係を結んでいる。
私も1990年に1年ほど淮安市で仕事をしたことがある。あそこは劉邦と項羽の出身地でもある。
日本は小さい都市同士を合併するが、中国は大きい都市を分割している。
淮安市は他にも英雄を排出している。西遊記(孫悟空)の作者も淮安市の出身。
この間は副市長が淮安市を訪れた。今度は市長や議員の皆さま、ご来席の皆さまもぜひ訪問してほしい。
柏崎市と中国は経済協力、人的往来、文化交流など各分野において著しい成果をあげている。
両国の国民の関心増進にも大きな役割を果たしている。
柏崎の一番目の魅力が人的要素だとすれば、二番目は美しい風景。黒姫山、鵜川・・(と観光パンフを読み上げる)
先ほど副市長のご案内でこの辺を見させていただいた。市長に会う前にも私なりにこの辺を見たが、本当に静かで優雅ないいところだと思う。
三番目は産業で石油、精錬、新エネルギー開発などを行っている点である。(とまた観光パンフを読み上げる)
四点目は古くからの歴史あるえんま市、花火大会など・・(やはり観光パンフ読み上げる)
7月26日の花火には市長からも誘われているので、総領事館のスタッフとともに訪れて観覧したい。
花火大会を見て観光誘致にも協力したい。中国人にとって海に打ち上げられる花火は想像するだけで魅力的。
今年の花火大会は中日国交正常化40周年記念と冠して行われるとのことなので、必ず大成功を収め、両国民に深い印象を与えることと信じている。
新潟に来て長くはないものの、柏崎市といえば観光客もけっこう来ている。
この間は南京市からチャーター便で159名新潟に来て、柏崎市の田中角栄記念館も見に行った。
これから花火大会に合わせて旅行会社(エージェント)とも協力していきたい。
柏崎はPR活動に力を入れているということなので、中国だけでなく世界に魅力を発信できると信じている。
<中国と日本・新潟・柏崎との経済協力について>
中国は1978年に改革開放して以来、総合的な国力が強くなった。
とくに近年の発展はめざましく、中国経済は毎年10%以上発展し、世界の工場と世界の市場といわれるようになった。
GDPも高く、世界の新興国の中でもトップクラスの経済発展を誇る。
2000年から去年までの世界経済の貢献率は20%を超えてアメリカを超えて世界一となった。
多くの外国資本が入ることで経済的に発展。同時に人口も多いので投資企業にも大きな影響を与えた。
日本の投資額は高く毎年増えている。また日本は輸出面でも中国に進出し大きな利益を上げている。
去年のトヨタ自動車は全世界での販売台数が6%減だが、中国での販売台数は4%増えた。
東日本大地震の影響を受けながらも、日産の販売数は中国で10%増えた。
中国は国民の生活水準が上がるのに伴い、世界最大の市場になる可能性を持っている。
また2011年に中国が提出された5カ年計画には国内市場の拡大を政策の根幹に組み込み、都市部と農村部の消費力を上げ経済発展を目指す。
中国は都市部よりも農村部の方が人口が高いので、農村市場も発展する。
電力市場も発展して、都市部から農村部に電力が曳かれているので、農村部での電力市場も拡大する。
インフラ整備、道路整備が進むにつれて、自動車の購買力も上がる。
内陸はまだまだこれから、農村部もまだまだこれから発展するので、中国は世界中から見て潜在力のある市場だと思っている。
中国政府は内需拡大に力を入れている。今までは輸出に力を入れていたが、それでは摩擦が起こるので、内需拡大することで国力が上がり、いい効果を生んでいる。
また中国は日本との経済貿易関係を重視している。1972年の中日国交正常化実現と両国政府の努力により、両国の経済関係は大きな発展を遂げた。
中央政府から民間企業にいたるまで密接な関係を築いている。双方が重要な貿易相手であり、正常化当時と比べて何百倍もの経済収支となり、新設企業も増えた。これも過去の政府の努力のおかげである。
両国の経済協力関係の将来は非常に明るい。昨日東京で通産省などいろんな皆さんと会ったが、更にハイレベルな経済協力をしていきたいと考えている。
<柏崎市・新潟と中国との交流のこれから>
これまで新潟、山形、福島三県との交流に力を入れてきたが、新潟に総領事館ができたことから、特に新潟と中国との経済交流・文化交流に力を入れている。
ひとつは地方経済の活性化により新しい成長点を見つけることが必要だと思う。
新潟・柏崎の企業は優位性を発揮して、中国と情報交換をしながらやっていってもらいたい。
これからのことについて先ほど市長には報告したが、本州には日本海沿海には12県、九州と北海道を含めると16県がある。
それに中国の場合は黒竜江省など4省、それにロシア、朝鮮半島、モンゴルなど6カ国が加盟している。
新潟は明治時代は東京よりも人口が多く、経済も栄えていたのが、その後アメリカとの交流で太平洋側を中心とした経済圏が発展した。
しかし私たちはもういちど日本海側の発展、日本海側に産業構造の中心が来ると推測している。
原発とか福島の問題とか色々あるが、これから大陸の経済発展・・来年は中国の総理は李さん(李克強)、中央政府の要人も地方から何人かが入る。中国政府は2年前から東北の振興政策を打ち出していてインフラ整備をいろいろやっている。
ロシアもプーチン大統領が戻ってきて、これからはアジア重視だといっている。今年9月でウラジオストクでAPECの会議があるが必ず各国の指導者の注目を集めることになる。
そのとき私が、総領事館が、中国政府にも日本政府にもパワーポイントを使って、エリナ、企業、商工会議所の皆さんを相手に環日本海経済圏の推進をアピールしたい。
東京でも日本の経済界の皆さんを相手に新聞記者7社、内閣府や外務省に対してもアピールし、ぜひ環日本海経済圏を一緒にやりましょうと、そうすると観光客はもちろん人的交流も一層多くなるかと思う。皆さんもそのときぜひこの事業に参加してほしい。
私はプロパガンダとして、日本海を平和でにぎやかな繁栄の海にしましょうということで広く呼び掛けている。
いま外務省でも通産省でも観光政策の中で議論されているし、代議士の中でも環日本海経済圏の議員連盟、知事会のなかにもそういう組織が出来上がっているようなので、ぜひ色々やっていきたいと思う。
環日本海経済圏を実現するための第一歩として、新潟と吉林省の間の横断航路、貨物船を実現した。
かつては大連港まで行くのに20日間はかかっていたが、ザルビノ港から新潟港までは5日間で行けるので貨物運搬も短縮された。
将来、機が熟すれば貨物船と客船両方、お客さんも沢山来られるようにしていきたい。
これが第一段で、ハルピン、吉林省、黒竜江省など中国東北部への最短ルートができたので、将来は柏崎港とか色んな貨物路線、横断航路が沢山できるといいと思う。
第二段として9月24日に中国黒竜江省、吉林省、内モンゴル自治区等と三県による経済交流大会が開かれる。
中国からは100~150社が来て、新潟・山形・福島の知事らにも来てもらい、企業同士が情報交換・経済交流できるよう、いろんな調印などできるようにする予定である。それに合わせて日本全国からの企業が新潟を舞台にして、新潟や中国の企業と交流をはかるようにする。
柏崎市にはブルボンがあり、総領事館と密に連絡をとって中国への進出を果たしている。
また植木組の本社も柏崎市にあり、総領事館のオフィス改修工事を植木組さんに大変きれいにやっていただき感謝している。
その他の企業とも相互補完性をより一層強化して、お互いに必ず大きな利益をもたらすことができると信じている。
9月の交流会には経済、観光、新エネルギーとか色んなことをやっているので、柏崎の皆様にもぜひご出席いただきたい。
特に観光協会の皆さんには沢山エージェントにも働きかけられるよう私たちもバックアップしていきたい。
二番目は観光拠点のモデルを作成して、政府と民間組織を利用して中国各都市との人的交流・文化交流を確立していただきたい。
新潟県の統計によると、一昨年に総領事館ができた後、できる前に比べて新潟を訪れた中国人観光客は2.8倍、去年は5倍にしようと思った矢先に地震が起きた。当時は中国東北部と新潟とを結ぶ航空便は週に2便だったが、私が東北航空の社長と相談して、週に4便にしましょうと。去年4月に開通する予定だったが、今年3月に4便になった。来年は毎日飛ぶようにしたい。
東北のハルピンとは4便ある。
おととい新潟の篠田市長が青島から私たちの手配で帰ってきたが、新潟市との航空便をつくったらよいなと市長にも言っていただき色々とサポートしていただいている。
新潟とくに柏崎は旅行社や観光地やホテルを通してのPRは色々とやっているとは思う。
柏崎市の周辺地域と協力して特色ある新潟を満喫できるルートを打ち出せば、中国からの観光客を引き付けられるだろう。
またいろんなかたちでPRすることが必要。中国でPRすれば親近感を持たれると思う。田中角栄先生のふるさとであるし、原酒造も有名で、当時田中角栄さんと周恩来さんが国交正常化のときに出たお酒ですので、去年僕の友達が日本に来て、お米を40トン、原酒造のお酒を6000本買った。観光客に沢山来てもらえば仕事が活性化をもたらす。
4月18日、南京からチャーター便が来た。揚子江の江陰市から40名が第四銀行主催で国際交流のため来日し、伊勢丹と三越で2600万円買い物をした。だから店長も大変喜んで私のところにも買い物に来た。
柏崎市でも沢山買い物ができるように、ぜひ花火大会を見ながら楽しんでいただくように、私たちも市や観光協会に協力させていただく。
特に美味しいお酒や美味しいお米、田中角栄さんのふるさとからのものだと聞けば、他のところのものより買うと思う。
ぜひフルに人的資源を生かしてやっていただければと思う。
もうひとつ、柏崎市には中国人華僑とか日本国籍を取っている中国人が沢山いるという。特に大学生(留学生)が多いのだが、今日市役所に行ったら若いスタッフが沢山いて、柏崎は元気な町だなと思った。
そういう人的資源を生かしてぜひネットワークを作って、中国といろんなかたちで交流を深めてほしい。
彼らにはいろんな人脈があるからそれを利用しながら・・。
市長も議長も議員も観光協会の皆さんも中国に出かけることで広くPRしていただければと思う。
中国と柏崎との交流を深め、なにより沢山の観光客が訪れて、こんな素晴らしい海水浴場もあるし、美味しいお酒をたくさん買って、新潟空港を経由して帰るようにしていただきたいと思う。
中国と日本の交流には2000年以上の歴史がある。特に周恩来総理と田中元首相をはじめとする両国の有識者と政治関係者が築いた友好関係・有効感覚はゆるぎないものである。
今年は国交正常化40周年を迎えるが、総領事館は皆さんとご一緒に、柏崎をはじめ新潟の各地域との交流の拡大、経済協力の深化に努めてまいりたいと思うので、皆様方の支援とご協力をお願いしたい。
いかがだろうか?
まさにべた褒め.そして新潟の(今回は柏崎の)経済を活性化させると具体例を交えながらアピールしている.
こんなオイシイ話をされたら,それは地元が期待してしまうのは当たり前なのかもしれない.
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いかがだろうか?
まさにべた褒め.そして新潟の(今回は柏崎の)経済を活性化させると具体例を交えながらアピールしている.
こんなオイシイ話をされたら,それは地元が期待してしまうのは当たり前なのかもしれない.
世界ウイグル会議がちょうど日本で開催されていた.
中国とはどういう国なのか?
中国による地方経済界の懐柔は急速に進んでいるのかもしれない...
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